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自分のペースで学習を進め、できた!わかった!の瞬間をつくる。

倉敷翠松高校の普通科創学コースでは、学び直しの授業として「ステップアップ」という授業を開講しています。生徒たちが自分のペースで学び直しをできるよう、AIドリル「すらら」を導入しています。

中学校までの学び直し

授業は週2時間、主に数学と英語を扱い、中学校までの学習内容が理解できることを目指します。授業は「20分」「10分」「20分」のブロックに分けています。前後半の20分はすららを活用した学び直しを個別学習によって進めます。

あいだの10分はクラス全体で学習活動を進めます。方法は英語しりとりや数学のクイズなどのレクリエーションのようなグループワークで、クラスごとで内容は異なります。生徒の状況を見立てながら方法を変更していくので、場合によっては10分睡眠にしてリフレッシュすることも。

すらら画面:数学のレクチャー

進め方の工夫

1年生は習熟度別に4つのカリキュラムを策定し、今の自分の学力に合ったペースで学習を進めます。ただし、クラスはそのままなので、同じ空間にいても、それぞれの生徒が違う内容を学習していることになります。

2年生からは習熟度別に3つのクラスを分けて授業を行います。学習内容だけでなく、それぞれのクラスで学習方法を変えることで、自分に合った勉強方法を探します。

とくに頑張っている生徒には表彰制度も設けています。①復習達成率が高い(自分が分かっていない部分を理解できるように復習を進められている)②取り組み時間が長い(授業時間以外でも学び直しを進めている)を月1回クラス掲示を行っています。

すらら画面:英語の小テスト

成果

学び直しが進んでいるかどうかを確認するために、4月に行ったテストと同じ範囲のテストを学年末にも実施しました。結果として、40点上がった生徒が英語・数学合わせて30人出てきました。

年間を通して継続的に学習時間が確保できています。また、授業外でも自主的にすららを使って学習している生徒も出てきました。

先生の声

松本先生(左)と向井先生(右)に話を聞きました!

ステップアップⅠ(1年生)について

向井:本校には、中学校で分からないことを(聞きたいけど)先生に聞けなかった子たちもいるように思います。そうした生徒が困っていないかを教員が気づけるような環境を目指し、この学び直し授業をつくってきました。

その結果、「わかった!」「できた!」という小さな積み重ねによって自信を持って取り組むようになった生徒が増えた実感を持っています。

松本:これまでに、数学が苦手な生徒をたくさん見てきました。通常の授業では、内容を分からない生徒が1人いても、全体の進行を止めることは難しいです。ステップアップⅠでは、4つのコースで分かれることで、その課題を解決しました。

生徒によっては、簡単な足し算引き算からスタートして、徐々に難易度が上がっていって。自分のつまずき(できないところ)が発見できて、徐々にできるところが増えていった様子が垣間見れました。

それでも分からない問題が出てきたときは、分かる生徒と話し合ったり、たまに和気あいあいとする様子が見られました。授業はみんな揃ってピシっとしないとダメということもあると思いますが、ステップアップⅠではそうではありません。それぞれの学習進度に合わせて進めていくことを大事にしているので、生徒たちが関わり合いながら、自分のペースで進めていくことを個人的には意識していました。

すららは、学習内容の個別最適化を目指すAIドリル。

ステップアップⅡ(2年生)について

向井:私が担当している初級クラスは、じっくりと1人1人と話せる時間があります。よく話をして「なぜ勉強ってしなきゃいけないのか」など、授業とは一見離れたような話もするなかで、1人1人と関わる時間を増やしました。

そして、問題を個別で解いていくんですが、生徒は何がわからないかというと、共通しているのは「まず問題を読まない」こと。何を聞かれているのか理解できていないということが多くあります。なので、1人1人に付き沿って、「この問題はどういうふうに書いてある?」と読ませます。そして、「こう書いてある。わかった!」と積み上げていくことで、少しずつ取り組む姿勢が変わってきたような気がしています。

初級クラスでは、小テストだとしても、難しそうにしている生徒がいたら、教員から「ここはこうやって解いたらいいんだよ」「こんなふうにしたらどう?」とヒントを与え、小テストでも「まず解けるようになる」経験を一つ一つ積み上げることを意識しています。

生徒たちに勉強の大切さを教えることも、このクラスのねらいだと思って取り組んでいます。

松本:私が担当する上級クラスでは、中学校の内容はそこそこぐらい生徒が多くいます。小テスト(20分間)はしゃべらずに、最後の最後まで真剣に一生懸命取り組むことを徹底しています。ある程度の問題ができるとはいえ、自分のつまずくポイントを分かっていない生徒もいますので、自分のできる・できないを明確にする必要があります。

小テストの後、「復習登録」と言って、間違えた問題をまとめて解き直していきます。そこで私が意識していることは「なぜそうなったのかをしっかり考える」ということです。できることが積み重なると、どこか作業のように学習をしたり、本当は分からない問題でも偶然正解だったから次に行ってしまう生徒が増えてきます。そこで、机を回りながら「なんでそうなったか教えて」と生徒に聞いて、説明もらったりしています。

早く終わった人は、他の人に教える係になったり、黙々と難易度の高い問題にチャレンジしたりしています。ステップアップⅠにもあった10分休憩では、YouTubeに面白い教材となる素材がたくさんアップされているので、雑学の問題やなぞなぞなどを出して、私も一緒に間違えたりと、生徒と一緒に楽しみながら進めていますね。

専門外の教科でも、生徒と一緒に話し合って、考えて、学んでいます。たとえ間違っていても一緒に考えることで、思考力を養うことを意識しています。