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【卒業生インタビュー】人魚の探究を、大学受験に。

「翠松高校グロウアップ」では翠松高校での成長(grow up)を、ひとりの人物にフォーカスして紐解いていきます。


卒業生の武本奈菜加さん(ノートルダム清心女子大学文学部現代社会学科1回生)は、総合型選抜入試で大学を受験しました。武本さんは「人魚の探究」を行い、時代によって移り変わる人魚像についてまとめました。その探究活動や受験をバックアップした前良治先生との対談形式で、武本さんのグロウアップ(成長)をクローズアップします。

前先生(左)と武本さん(右)

勉強は苦手だった

――さっそくですが、武本さんはどんな中学生でしたか?

よく寝てました。笑 勉強そんなに好きじゃなかったので。そのかわり友達はいたので休み時間は楽しかったですね。でも、中学の頃は校外で色々な活動をやってたので、休日に友達と遊びに行くことは少なかったです。

――翠松高校に入学したきっかけは?

お兄ちゃんが2人いて、両方とも翠松高校でした。5歳くらいのとき、お兄ちゃんがサッカー部に所属していて、その応援に親と一緒に来ていました。お兄ちゃんが通っていて身近だったっていうのが一番の理由でした。それと制服もかわいいし。

――どんな高校時代でしたか?

1・2年生はテスト勉強だけはしてましたけど、授業中はそんな力が入ってなくて。人生のことも考えてなくて、3年生になって「進路どうする?」って言われて初めて「真面目にやらなきゃな」って思いました。笑

大学受験に向けて

――受験勉強って、国・数・英を勉強するっていうイメージだけど、そういう受験方法じゃなかったんだよね?

大学の説明会で総合型選抜という受験方法があると知りました。自分が探究できることって何だろうって思ってたときに「そういえば人魚があったじゃん!」って。7月後半から取り掛かることにしました。

お兄ちゃんが妖怪とかが好きでよく見てたんです。それで民俗学が好きになって。あと、世界史の先生の影響で、歴史をやってみようかなと思ったんです。

妖怪も色々と種類がいるんですけど、妖怪を見ていくことで、現代と江戸時代の人々の生活習慣の違いが分かったりするのが面白いなと思っていて。博物館で人魚のミイラを見て、「これを調べてみたら楽しそうだな」って思ったんです。

親にも相談していて「ひとまず学校の先生に言いに行ってごらん」と言われて、夏休みに1人で学校行きました。まず担任に相談しようって思ったところに、たまたま学年主任の前先生が通りかかったんです。

――ほんとにたまたま。職員室の入口のところで声をかけたね。

大学を受けたいですって伝えたら、最初は馬鹿にされるか、あなたには絶対に無理だって言われると思ったんです。だから、最初から(誰にも相談せず)1人で頑張る予定だったんですよ。でも一応先生には報告しとかなきゃなって。そしたら、めっちゃ協力してくれて。

探究がはじまる

先生に相談する前から、既に浅口市にある円珠院の和尚さんに訪問のアポをとっていました。前先生は「質問事項を作っとかなきゃね」とか「こういう画角の写真撮ってみようか」とかって言ってくれて、とても協力的でした。

――生徒の挑戦を支えたい思いは常々あったからね。今までも総合型選抜のようなプレゼンテーションを使った入試の指導をした経験があったから、やってみたらいいんじゃないのって思った。

――和尚に会いに行って実際にどうだった?

お盆の時期で絶対忙しいのに1時間以上話してくださって、「合格したらまた来てね」とも言ってくれて。受からなきゃなとも思いました。笑

――入試に向けてやってよかったことは?

夏休み期間ずっとパソコンと向きあっていました。プレゼンテーションの練習を前先生が、面接練習をお兄ちゃんが手伝ってくれました。

論文など、それまで長い文章を読んだことが全然なかったんですけど、夏休みを利用してたくさんの文献を読みました。大学の基礎演習でも文献を読んで自分で調べることがあるんですけど、高校時代のこの経験があったおかげで耐性がついていたので、置いていかれませんでした。

――高校生で文献を読むってなかなかハードル高いよね。

でも、だからこそ大学でもちゃんと認めてもらえたんだと思います。

――アンケート調査やプレゼン資料の作成、発表の練習と頑張っていましたね。苦手な文献を読むことを続けられたのはなんでかな?

とにかく妖怪が好きだったので。バラエティー番組や本でしか妖怪を見たことがなくて、文学的な面からの妖怪を知らなかったんですよ。だから文献を読むことが一番大変だったんですけど、面白いなと思って続けられました。

あと、とにかく大学に入りたいっていうのと、和尚や前先生に協力してもらったので、受からなかったら絶対嫌だなって思って、頑張りました。

――たくさんの1年生の前でプレゼンもしたよね。振り返ってどうだった?

最初は緊張したんですけど、いざ前に立ってみたら緊張しなくて。でも、練習で多くの人の前でプレゼンをしていたので、それと比べると大学の試験は面接官2人だったので、気持ちは楽でした。

――原稿を見ずにあそこまで喋ることができるんだなって感動したけど、それだけ自分でコツコツ練習してきた成果だと思う。いろんな人の力添えがあってそれができたはずだから、そこは感謝だね。

前先生は卒業式の日に武本さんが送ってくれたお礼の手紙を大切に保管していました

実際のプレゼン資料の抜粋

高校で成長したこと

――人魚の探究や翠松高校での学校生活を通して、どんな成長があった?

翠松高校はのびのびできる。他の高校と比べて課題も少ないから、受験にずっと時間をかけたられた。あと、私立高校って先生の顔ぶれがあんまり変わらないから、関わりやすかったっていうのもありました。

――例えば、文字を読むということに抵抗少なくなったとか、その辺はどう?

大学ではブックレポートをいっぱい書かなきゃいけないんですけど、文献を読んだからこそ、本を1冊ちゃんと読めるようになったんですよ。探究で調べるときも、いろんな文献の探し方を分かるようになったし、選び方や読み方も学べました。

――自分でゴールを決めてタスクを設定してやるみたいなことって、なかなかできないことだけど、そういう習慣とかってこの経験でついたってことかな?

はい、むっちゃ。笑 自分の中で目標を決めてやろうっていうことができるようになりました。1週間前にこの課題を終わらせようとか、大学でも今日はこの文献を読んで、明日までにこれをまとめてっていうのはできるようになりました。

――それまでできなかった?

はい。中学の勉強って答えがあるじゃないですか。それに比べて、プレゼンや大学の勉強は自分で調べても答えはないし、正解もないじゃないですか。だから、それがちょっと難しかったんですけど。

――和尚にアポをとるとか、すごく勇気がいることだと思う。この経験を経て初めてやることに対しての意欲や勇気って何か変わった?

変わりましたね。話がずれるんですけど、アルバイトで最初は「絶対失敗するじゃん」とか「これ絶対自分に合わない仕事だ」って思ってたんですけど、「よしやってみよう」「どうにでもなれ」って感じで決断力がついた気がします。

――最後に、翠松高校で成長したこと「グロウアップ」を改めて教えてください。

すぐ諦めていた私が、挑戦する私になれました!ありがとうございました👋

取材協力、ありがとうございました!