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学校公式TikiTokが、新たな世界を拓いた。

1年で12万人のフォロワーを獲得した、倉敷翠松高校の学校公式TikiTok。担当する児玉先生から、きっかけエピソードや運用にあたっての思いについて聞きました。

児玉先生

現在教員5年目。
コロナ禍、オンラインでの広報手段を模索する中で、動画制作やホームページ、パンフレットの制作に携わる。2022年度よりeスポーツ部を設立し、その活動の一環で生徒と一緒にTikTokを始める。

よりよい学校の広報を目指して、新しい挑戦を。

――TikTokを始めようと思ったきっかけは?

学校の広報手段は、ホームページやパンフレット、オープンスクール、学校説明会が主流ですが、私自身の学生時代を振り返ると、学校を選ぶときにホームページを細かく見ているかというと、そんなこともなかったんです。たくさんの学校さんから色んなパンフレットを一緒にもらって、一つの学校のものだけをまじまじと見る光景はイメージにしくい。

そこで、若い世代へのアプローチとして、従来の学校広報にSNSを取り入れていこうと始めました。一番最初は、ホームページに掲載している学校のニュースをInstagramに置き換えて運用してみました。

レコメンド機能があるTikTokは、認知に特化したSNSと言われています。今まで学校のことを知らなかった層に対して、まず知ってもらうことがTikTokの役割です。その後に、詳細な学校情報をホームページやパンフレット、Youtubeなどで入手してもらうという流れを目指しています。

先生の試行錯誤の結果、花開いた。

――最初から上手くいったんですか?

いえいえ。本来であれば、ショート動画などを作る必要があるのですが、これが億劫になっていたというか、ハードルを高く感じていて、なかなか取り組めていませんでした。しかし、ある動画を投稿したらものすごく反響が大きく、拡散性の高さを肌で実感して「これは、ちょっと力を入れて取り組まないと…!」と思えて、それがきっかけでした。

最初は、eスポーツ部の差別化戦略でもありました。SNSに取り組むことはeスポーツと親和性が高いなと思ったので、撮影したり動画を作る活動を部活の一環として取り組んでみました。そこから派生して、部活動以外の生徒にも編集をお願いしたり、企画を考えてもらったり、協力の範囲を広げて継続しています。

TikTok全体で流行っている動画は、それこそ昔のテレビようにごく当たり前のように学校内で認知されているので、そういうトレンドを押さえたコンテンツはターゲットの中学生にも見てもらいやすいのかなと思います。

倉敷翠松高校の認知は確実に広がった、と感じる。

――TikTokの反響や変化はありましたか?

オープンスクールの定員が埋まってしまうなど、興味を持って来校してくださる人の数に変化がありました。TikTokの効果だけではないと思うんですけど、入学者も増えました。(2024年度実績)

TikTokでたくさんコメントをいただきます。その中には「翠松高校に行きたい」とか「高校生活は翠松コーデしたかった」「女子の制服がかわいい」「息子を通わせたい」など、ポジティブなコメントをいただいているので、さらに頑張らないといけないなと思います。生徒が生き生きと楽しそうにしている様子を届けられていることが嬉しいです。

――TikTokを運用するときに注意していることもありますか?

再生数が多く話題になってしまった生徒に関しては、本人と保護者の方にも確認をとるフローを作っています。生徒が誰でも発信できる世の中なので、意図せず自分の映った動画が投稿されないようリスク管理が必須です。不特定多数の生徒が映るような場面で、後から「実は映りたくなかったです」と申し出があった場合は動画を削除するルールなど、生徒とコミュニケーションとって運用しています。

――生徒にはどのような変化や影響がありましたか? 

「翠松、TikTokすごいよね」と他校の生徒から言われることを、恥ずかしながらもうれしそうに話してくれます。TikTokって、僕らでいうテレビの文化と一緒で、注目されている感を僕ら以上に生徒の方が感じてるんじゃないかなと思っています。

よく出てくれていた生徒たちは、色んな企業の方やクリエイターの方とご一緒する中で、まるでビジネスマンが仕事するようになっていきました。企業の人に対して物怖じせずに発言することも含めて、変化に柔軟というか、新しいものでもそのまま素直に取り入れられる力を身につけたように思います。

SNSを通じて、色んな広がりが生まれた。

――現在、高校アカウントでフォロワー数日本一ですが、これから何を目指されていますか?

ありがたいことに話題にしていただいて、色んな企業の方からご縁をいただいたり、生徒が好きなインフルエンサーと関わりが持てるようになったりと、SNSを通じて色んな広がりが生まれました。これは生徒にとっても学校にとってもプラスになる広がりだと思いますので、継続して色んな方との出会いができるツールにしていきたいなと思います。

多様性が求められる現代で、本校もたくさんの学科とコースを設けて、色んな分野の学びができるように努めています。また、部活動も盛んなので、自分のやりたいことや好きなことを一つでも見つけられるような環境があります。何か没入できることが見つかり、生徒が充実できるような3年間を送ってもらえればと思っています!